零年


まるで 無力を賛美するように
多くの悲鳴だけを遺した

この荒れ果てた大地が垂れ流す
おびただしいほどの血潮は
焼き払われて 乾涸びたみたい
あの鮮やかさだけをうつして

今もこうして
僕の指の隙間からこぼれてゆく
粉々に砕けた 誰かの骨肉

僕は知っていたよ
まだ 誰も武器を捨てていないことを
僕が膝を折るとき
君に突きつけられる 哀れな凶器の名前を

僕が怖いのは 裏切りなんかじゃない

もし 君の左手に握られていたのが
時代ではなくて
歴史なんかではなくて
君の たったひとつの意思だったならば
僕は その幼い手が
一握りに世界を終わらせたってよかった

数秒後には その涙だって無価値だ

憎しみは痛みなんかじゃ消えない
そのうつくしさで
綺麗ごとを言うなよ